2023/12/22 21:10


創作ファンタジーアドベントカレンダー22日目

はじめての人はこんにちは、いつもの皆様は毎度でございます。NSミニチュアの西山と申します。自分が何者か申しますと、ボードゲームメーカーの制作進行だったり、ボードゲーム印刷屋の担当者だったり、オリジナルミニチュアメーカーのNSミニチュアの店主兼原型師だったり、最近が文具。雑貨アイテムの担当者だったりして、書いていて自分でもよくわからないですね。個人的な話はここまでにして、タイトルのファンタジーミニチュア作りの話を進めましょう。
と申しましてもこの業界自分より熟達者(オーロラモデルのsolo様やハーミットインの籾山様)がいるので、あくまで自分式に進めていきます。
※ここでミニチュアとはイギリス等を出自とする30mm前後の金属あるいは樹脂製の人形とします。

必要な道具
・ミニチュアの図面・メモ 筆記用具
・エポパテ(自分はグリーンスタッフやタミヤのエポパテ等使います)
・シンナー
・ぼろい面相筆
・スパチュラ(使い勝手のいいもの数種)
・真鍮線
・瞬間接着剤
・ニードル(スパチュラでもいいのだが細くて尖った針)
・水差しと水
・プラ版(武器などの直線的的なアイテムを削りだす)


①どんなミニチュアを作るかまとめよう
ミニチュアを作ろうとして挫折する人の50%ぐらいの原因がこれです。自分が作りたいのが何なのか頭とメモでいいのでしっかりまとめておきましょう。写真は自分の古いミニチュアメモですが、あれこれメモしてあります。頭の中で適当に考えたままだと、どう作りたいのか迷走するので挫折しやすいです。


↑筆者の自筆のミニチュアメモ。参考になるミニチュアの印刷物も貼ってあります。

↑高等テクですが、知り合いのイラストレータに頼んだりもできます。

②下地となる素体を作ろう
ここら辺は作る人によりいろいろやり方があります。
概ねここら辺から流派が分かれます。自分が知る限り
・針金で骨を作りパテを盛っていく人(海外主流)
・パテの塊に徐々に細工していく人(オーロラモデルさんがそのやり方でした。)
・事前に固めておいたパテの塊をを切り貼りしつつ、徐々に針金やパテの棒をつけて固めていく人(自分)

海外ではおおむね骨から作るようです。下記の海外リンクがわかりやすいので是非ご参照ください。

http://www.brother-vinni.com/articles/sculpt-archer/sculpt-archer.htm

ついでに自分は3番目の素体作りつつ徐々に手足とかを足していくタイプです。
このやり方の良いところは途中で大幅に修正が可能なところです。針金で骨を入れると途中で大幅なポーズ変更や、切り取りが少し大変です。それに比べて3番目のように心材をすべてパテやプラ棒すれば、ニッパーで切り貼りできるのがメリットです。

↑上半身にパテを盛っているところ

↑顔はだいたい単独で作ります。納得するまで作り直して、できたら体と合体させます

③コツコ固めつつパテを盛れ
ここができるかどうかがミニチュアを作るときに挫折する原因の残り50%に関わります。どうしても初めての時、一気に完成させようと人は全部作ろうとあれこれ手を入れます。これ失敗の原因。ミニチュアはとても小さく、パテは柔らかいです。例えば髪の毛ができた後に、固まる前に他の個所をいじると、うっかりスパチュラで触ってしまい、「ぎゃーーーー」となります。これを避ける方法はただ一つ、1か所造形が仕上がったら、それで作業を辞めて固まるまで待つのです。そんな気長なことはできない?まあその段階であきらめるか、デジタルスカルプト(3dでの作成)に切り替えることをお勧めします。気長に、忍耐強くやるしか完成への道はおそらくありません。自分は1日30分2回とか決めて、朝夕彫刻するとかで進めます。もちろん「複数体同時に作る」「温風等当てて、パテの効果を早める」「多分マスタークラスになれば、未硬化部分の干渉を気にせず作業できるかも?」などありますが、最初はコツコツ作るのが一番だと思います。

↑古い作品で恥ずかしいが、作業工程がわかりやすいモデル群です。
↑ラフに出ていたドワーフたちです。二体同時に進めて、交互に硬化させれば常に作業できます。

↑たまにかわいいのも作ります。

④服を着せるように段階を踏む
基本ミニチュア造形は服を着せるのと同じように
1.素体➡2.服➡3.鎧や装飾品➡4.武器(3と4は状況で入れ替わる)の順にパテを盛ります。内側は後で修正しにくいというか、直すには削るしかないので面倒です。

⑤表面処理はシンナーを筆でなでるだけ
大型のフィギュア等は表面をやすり掛けしますが、ミニチュアではそれは難しいです。基本エポパテであれば硬化前にシンナーを含ませた筆で軽くなぞればつるつるになります。ただやりすぎると削れるので注意しましょう。

ここまでの工程を繰り返せば概ねミニチュアは完成します。とりあえず途中までで辞めるのは避けて1体完成させましょう。クオリティは1体づつあげて行けばいいのです。

⑥メタルのキャスティング
完成したミニチュアをそのままペイントもありですが、出来れば複製して原型を残したいのが人情というものかもしれません。実際自分も手原型は鋳造して、複製してからペイントします。

個人でのメタルキャスティングの道具
・低融点メタル
・金属用レードル(オーロラモデルさんで買えます)
・耐熱シリコン
・耐熱の皮手袋とエプロン
・ゴーグルかメガネ
・型どりブロック
・ベビーパウダー
・パウダー用のはけ
・太い輪ゴム
・完成品や材料を入れる耐熱の容器2-3個
・型どり時に下に引くシート
・油粘土
・めんぼう
・ヘラ
・ガムテープ
・電気コンロ
※高温のメタルを溶かして作業できる環境、可燃物がないところで電気コードがとれる場所、下に金属がこぼれても大丈夫なように板等引いておくとよい。

こんな感じかと思います。
工程的には
①シリコン型を作る(自重形式)
②そこにメタルを流す
おおよそ普通のシリコンでの複製と変わりません。
大きな違いは
「金属は重いので自重形式でいい」
「金属を流す時は凄く注意する」
ぐらいです。

詳細は以下のオーロラモデルさんのブログを参照すると良いでしょう(自分もだいたいここで勉強しました)

その1
https://aurora-model.jp/solo/molding.html
その2
https://aurora-model.jp/solo/molding2.html
その3
https://aurora-model.jp/solo/casting.html

とまあ後半は速足で進んでまいりましたが、こんな感じです。
いや途中まで書いた文書がエラーで消えたせいじゃないですよ。
そのうち3Dモデリングの方法もまとめたいと思いつつ、意外と忙しいのでやらないかもしれません。
それでは皆様良いクリスマスを!

執筆 NSミニチュア 西山